国語教育
読書量が一向に上がらない生徒諸君に強制的な読書をしてもらおうかと考えています。読書といっても新聞のコラム程度のものです。それを読むことで読解力をつけてもらいたいのはもちろんのこと、社会に興味を持ってもらおうという狙いがあります。教材を用意…
機械翻訳の精度は日々向上しています。ただ、実用性は今ひとつで完全に委ねることはできません。滑稽な訳になることも多く、注意が必要です。 私には文章作成上2つの動機があります。一つは機械に代替できない個性的かつ味のある文章を書くという思いです。…
国語力がどうして伸びないのかを教員同士で話合いました。結論は出なかったのですが、たくさん問題を解かせるとか、早めにカリキュラムを終わらせるということではなさそうです。 古典文法を前倒しして教えましょうという教員の意見は反論の矢に晒されること…
当たり前だと思っていたことが見過ごされてきた気がします。国語教員にとってノートの取り方を教えることはその一つです。いろいろな方法がある中で誰でもすぐに実践できる方法は教えておくべきでしょう。 私は授業をする前にノートを作っておかないといまだ…
センター試験の記述問題の出題が見送られたとのことですね。私は当然の成り行きだと考えています。記述といいながらさまざまな縛りをつけて書かせるやり方は決して読解力も表現力も測れません。分かるのは要領のよさだけです。 記述問題がなくなっても大きな…
古文を教えていて最近つくづく思うのは中学生にとって古文は外国語なのだということです。そうである以上、音読は欠かせないと痛感しています。 文法を教えるとき、どうしても要の部分で語感が求められることがあります。たとえば「書く」に「ず」をつなげる…
何が大切なのか、何が価値があるのかという問題については絶対的な基準はありません。そしてその秤は時代によって変わってしまう。大切だ貴重だと思うものは時代によって変わります。だから、周囲の声に左右されることなく自分の価値観を大切にすることが大…
出来上がった知識ではなく、どのように考え、手順を踏めば答えが出せるのかについて考え実践させる授業が求められています。 既存の知識の数を問う指導は知的レベルの底上げに大きく貢献しているのは確かです。よく分からないけれどもこう答えれば何とかなる…
漢字を無理して覚えることに疑問を感じるという意見を耳にしましたが、日本語にとって漢字教育を軽視することは国民の知性を奪うことにつながることは確かです。妄言には注意が必要です。 日本語は音韻の数が少ないにも関わらず多彩な言語表現を実現してきま…
以前にも同じようなことを書いたことがありますが、その時期になってきましたので再度書きます。今考えていることを踏まえますので前回とはすこし違った意見になっています。読書感想文を書くならば書評ではなく、自分のことを中心に書くべきだというのが私…
結局、言いたいことは何なのか。それを短くまとめることが求められているスキルなのでしょう。 日常生活で起こる様々な出来事はどれも複雑で分かりにくい。それぞれにディテールがあって、それらが絡み合っている。それを短い言葉でまとめることが今日大切に…
実際にはないものを見せると分かりやすくなるということがあります。普通はそうはしないのですが、敢えてそうしてみせることが思考段階の可視化につながり、結果的に理解しやすくなるのです。 国語の授業の内容の大半はこの作業であり、脳内で瞬時にやってい…
我々国語の教員の中にも中等教育で国語力を伸ばすことは難しいという人が多くいます。文章を書かせてみると確かに圧倒的な差を感じることがあり、それをセンスの有無で語ることもよくあります。私はこの考えをとりません。 作家や言語を芸術として使用する職…
詩の授業は生徒のときは気楽でした。覚えることも問われることも限られているし、解釈も多様性が認められていたからかもしれません。 教員の側に回ってみると詩の授業ほどやりにくいものはない。限られた時間内で詩の世界を理解させなくてはならないし、表面…
国語教育はすべての思考の土台という認識はいつもあります。思考の根源であり道具でもある母語はすべての基礎にあるものです。それは分かりながらも具体的に何をすればいいのかが分からずにいる。 教育界が進みつつある実用的な国語能力の方面は、これを意識…
最近読んだ本の中にファシリテーターの重要性が書かれていました。会議をメタ認知することの必要性が述べられていたのです。読んでいて気付いたことにこの件については国語の授業との親和性がかなり高いということがあります。 会議をうまく運営するためには…
日本語にとって漢字テストは大事です。抽象概念を漢字に依存している日本語にとって漢字を学習することは思考の深度を高めることに直結するからです。漢字には一字ずつに意味があり、さらに熟語になると別の意味になることもあります。それらを知ることで表…
生徒に自分の意見を書きなさいという課題を出すことは国語教員ならば何度もあります。正直に自分の意見を書くという行為そのものはとても意味があることであり、やらねばならないことだと思います。ただ、自分の意見を書くのに10分とか20分とかしか与えない…
国語の問題にはしばしば登場人物の心情を問うものがあります。間違えてはならないのは聞かれているのは登場人物の本心でも、作者が登場人物に託した心情でもないことです。人の気持ちなんて分かるはずがないという素朴な疑問は正しい。それを聞いているので…
生徒の作文を読んでいてこの頃特に目立つのは文を最後まで言い切らず、体言止めにすることです。たとえば、 主人公のあの時の言葉に感動。心に残る場面でした。 のような表現です。一度だけなら表現効果を狙ったものということも可能ですが、文中に何度も使…
国語科の教育の改革に大きな疑問を持っている人は多いと思います。大学共通テストの試行問題を見て危機感を覚えた人も多く、世間では多くの論評が出ています。私も同様の感想を持っています。そして現場にいるものとしてそれは深刻です。 実用性を重視し、大…
国語のテスト問題としては定番の接続詞に関する穴埋め問題はやはり大切なものです。そして、これに関する教育をしていかなくてはならないことを痛感しています。 小学生の頃から、順接の「だから」、逆接の「しかし」、例示の「例えば」、譲歩の「たしかに」…
アドリブで何かをするというのはちょっと難しいことです。先日、生徒に3分のスピーチをさせたところ、大半の生徒は半ばくらいで止まってしまいました。彼らに共通するのは予め用意した原稿を読み上げるか、記憶してきたことを再現していることです。 スピー…
今日は少しだけ話し方の授業をやってみようと考えています。口頭発表をする際の基本的なスキルを見直してもらうのが目的です。 まず、姿勢と発声の方法を確認します。肩幅くらいに立って親指あたりに重心があるのを意識してもらいます。前のめりにならないよ…
「ほぼほぼ」「基本」「の体で」など流行語とも言えるような表現を最近頻繁に耳にします。「ほぼ」「基本的に」「のように」と言っていたものをそのように言うと今風になるからでしょうか。教員仲間でもごく自然に使う人が多数います。いわゆる造語ではなく…
中学生に国語文法を教える際にいつも気になっていることがあります。成績のよい生徒でも文法の知識の定着には時間がかかるということです。直後に行うテストで満点を取っても、2か月後のテストでは忘れてしまう。 それは必ずしも生徒の怠慢のせいだとも言え…
夏休みの宿題に読書感想文を課する学校はいまでも多いようです。ただ、この宿題にはいろいろな問題があって、存在意義を疑問視する人も多い。私は出題意図が明確ならば一定の効果があると考えています。私の読み方を紹介することで、この問題に対する一つの…
全国の小中学生を対象に行われた全国学力テストの結果が発表されました。国語教員としてはその結果に関心を持っています。県別の平均点のランキングばかりが話題になりますが、それよりも私は日本人の知的活動の根本に当たる基礎的な国語能力がどのように育…
国語が苦手な小学生の母親からの相談で次のような話を聞いたことがあります。国語の問題で「とはどういうことですか」という形の設問に対して、たいていの場合そのこどもは自分の考えを述べてしまい結果的に誤答になってしまうというのです。国語の設問は結…
学校で教えることはおそらく自分でも学べる力をつけさせることにあるのだと思います。アクティブラーニングとは学びの行為がパッシブではなくアクティブだということです。協働学習はそのための手段の一つであり、学び合いがなければ効果的な深い学習はでき…