日本語あれこれ
機械翻訳の精度は日々向上しています。ただ、実用性は今ひとつで完全に委ねることはできません。滑稽な訳になることも多く、注意が必要です。 私には文章作成上2つの動機があります。一つは機械に代替できない個性的かつ味のある文章を書くという思いです。…
大丈夫ですか、という質問を昭和時代にされたら心身のなんらかの不調を疑われたことを意味しました。大丈夫です、と自分でいうときには他人の心配に対して問題がないので気づかい無用という意味だったと記憶しています。 ところが、いつの間にかこの言葉は意…
「はい」は印象がいいですが、「はいはい」と繰り返すと多少意味が変わってきます。「はいはい」を2回繰り返すともう拒絶の意味が濃厚になってきます。最近、どうも無駄に言葉を繰り返すことが多くなってきているような気がします。 「そうですそうです」は…
若い同僚は職場で早く帰るときに「お疲れさまです」といって立ち去ることが増えました。「失礼します」を言うのは少数派です。かつては自分だけ早く帰るのは申し訳なく、失礼に当たるという配慮があったのかもしれません。それが今は対等にいたわりの言葉を…
若い同僚から教えてもらった言葉に「既読スルー」というのがあります。おそらくこの記事を読んでいらっしゃる方ならほとんどご存知でしょう。この用語はLINE(平板にラインと読むのも気持ちが悪い)を使う人にとっては当たり前で、かつ深刻な問題らしいので…
コンビニエンスストアで思わず「官製はがき」はありますかと聞いてしまいました。店員はもしかしたら高校生かもしれない女の子。少し考えた後、「ありません。・・・普通のはがきならありますが」と答えるではありませんか。「官製」という現実とはことなる…
古典を教えていていつも思うのは心情語の豊富さです。現代では「すごい」「やばい」でほとんどすべてを表現してしまう場合も多いのと対照的です。「あはれ」と「をかし」の対比は有名ですが、そのほかにもさまざまな心情表現があります。そのなかには意味の…
敬語の中でもっとも理解が難しいのが謙譲語だと思います。「行くっす」が普通になった世代では特にそうでしょう。 謙譲語は自分の動作や状態をへりくだる用法ですがそれによって相手を相対的に高めるという、人間関係に基づいた表現方法です。人間関係を過敏…
ラジオ番組で「年下がためぐちを使うのは許容できるか」といった内容の話題が扱われていました。街角でインタビューした内容をもとに敬語がどのように使われ、どのように受け取られているのかを扱ったもので、私は運転中に聴いていたのですが、少し興味を惹…
「ありえない」「あり得ません」は相手の存在そのものを認めたくないという意味で使われています。いわゆる全否定の表現でありながら、「認めない」よりは柔らかく婉曲的です。また、存在意義の基準も示さないので、言う方もやや気が楽ともいえるでしょう。 …
同窓会をきっかけに再燃する純愛を扱ったドラマが放映されています。登場人物の年齢設定が私に近いのですが、それなりにリアリティがあって惹き付けられるものがあります。もっとも私の場合は、平凡すぎる人生を歩んでおり、ドラマの人物たちとは全く違うの…
最近すっかり遠ざかってしまいましたが、かつて万葉集などの上代文学に興味を持っていたことがありました。上代の日本語には8つの母音があり、近似する音もしっかりと聞き分けていたというのが私が携わっていた頃の絶対の常識でした。神のミと上のミは発音が…
土佐日記の有名な冒頭部分は女性が男の習慣である日記を書くという宣言から始まっています。この作品が女の文字であったかなで書かれていること、実作者が紀貫之という男であることなど、いろいろな屈折があります。 さて、先に宣言と書きましたが、これは作…
自分のことを俺という女性のことを俺女というそうです。ネット上にはたくさんの俺女がいるらしいですが、実際に話している姿は見たことがありません。 私は男ですが、自分のことを俺ということには抵抗があります。そこまで打ち解けられる人がいないからだけ…
台風一過、今日は穏やかな一日になりそうです。読売新聞は朝刊の1面に二十四節気を掲載していますが、今日は小満だとか。麦秋のころという説明がありました。 田植えのあと稲の苗が日々大きくなるなか、黄金色の一画が広がる光景は大変印象的です。かつて田…
それまでは目立たなかった人が、環境が変わったことをきっかけにして急に積極的になり、そのために脚光を浴びるようになることを○○デビューということがあります。例えば高校デビューというふうに。 この俗語はなかなかいいものだと気に入っています。4月は…
31日から朝日新聞、読売新聞が活字を大きくして紙面を一新します。ご年配の方々にも読みやすくなるはずです。確実に進行している高齢化社会に対応するものといえるでしょう。 ただ私は少々うがった見方もしています。新聞を読む人の数は減っていると思います…
卒業のシーズンです。私の職場でも今日は卒業式でした。卒業式といえば「仰げば尊し」と「蛍の光」が歌われます。どちらもスコットランド民謡といわれていますが、「仰げば尊し」の方は伊沢修二の作ではないかといわれているようです。「蛍の光」は正真正銘…
世の中には色々な言葉があって、その中にはその意味を知ると忘れられなくなるものがあります。ここ数年、フィギュアスケートは男女とも成績がすばらしく、注目されていますが、最近のテレビ中継で覚えたのが「キス・アンド・クライ」です。これはもちろん、k…