はてなの毎日

日々の思いを、思うまま

間の取り方

 授業をしていてどうしても講義形式になってしまうことを反省することがあります。実は短大の教員をしばらくやっていた私にとって、授業が自己完結型に流れることが多いのは自覚しています。一方、中等教育の「国語」にとって大切なのは、知識のつめこみではなくネイティヴとしての母国語の活用能力を高めることにあります。もちろん教えなくてはならない教材はあって、それを消化しなければならないのは事実です。しかし、自分が中高生の時のことを思い出しても、教材の内容まで覚えているのものは少なく、ほとんどが忘却のかなたにあります。国語の授業を通して最終的に残さなくてはならないのは、言葉を使った思考の型を学ぶことであり、それを習慣づけることにあります。
 ところで、生徒諸君に諸問題を自分で考えてもらうためには「間」の取り方が大切です。対話式授業のお上手な先生はこの間の取り方が巧みです。大学にはこの手の先生が少数います。しかし、厳しい言い方をすれば往々にしてそういう方の授業は自己陶酔型で、しかも情報量が極端に少ない。これは中等教育には向いていません。私はこれまでいつもこの点で悩んでいるのです。
 私の職場では来年度から一こまの授業時間が少し短くなります。これを機に授業の流れを再考しようと思っています。短くなると詰め込み型が楽ですが、それだと国語の授業の目的が達成できない。しかし、のんびりやっていると何も進まない。そういうジレンマをどのように克服していくのかが、これからの課題なのです。