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李明博大統領の限界

 韓国の李明博大統領は苦労人であり、現実的な視点を持ったすばらしい大統領かと思っていましたが、選挙を前にして竹島(独島)問題をオリンピックのサッカー日韓戦と重ねて表現する竹島訪問のパフォーマンスをするという暴挙にでたことはとても残念であり、韓国民の愛国心を利用したこずるい戦略に、はっきりいって失望しました。李大統領はさすがに民間の経営者出身だけあって、すべてに打算的で戦略的です。それが現実的な政治運営に向かうときはすばらしい宰相になりうるのですが、保身に走ったときは危険な存在になってしまいます。
 李大統領の施策は日本で言えば小泉大統領の掲げたやり方に似ています。少数の世界的成功者を生み出す一方で大量の負け組みを排出してしまいました。かつての韓国民ならそれで満足したかもしれませんが、いまや高学歴化が進み生活水準が進んだ国民の批判をかわすことは難しい。国民全体の生活水準の向上と、格差の是正をもっと積極的にやるべきだったのです。
 自らの支持率の低迷と身内の不祥事による危機感が、自らの繁栄の基盤であった日韓関係改善によるビジネスチャンス拡大という糸を切ってしまいました。日韓関係の冷却化はなによりも韓国にとっての不利益であることは明らかです。大統領もそれは十分承知のはず。ひょっとして日韓の国民がそんなことさえわかっていないと思っていらっしゃるのではないか。そのくらい不可解な行動です。
 韓国人にとって独島(竹島)がどのような意味を持つのかということはなんとなく分かる気がします。しかし、それ以上の国益を知りながら、敢えて自らの保身のためにあたかも国粋主義者のように振舞う大統領の見せ掛けの演技に失望するのです。