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左側通行考のために

 私の住まいの近くでは特に規制をしなければ歩行者は左側を歩きます。はば3メートルほどの駅近くの跨線橋の前には右側通行という看板が立っているのですが、ほとんどの人が左側を歩きます。これは東京や神奈川を中心とした関東圏では共通の現象のように感じます。なぜ人は左側を歩くのでしょうか。
 江戸の風習が残ったというまことしやかな話を聞いたことがあります。刀は左腰に差し右に抜くので、相手に自分より左にいられると斬りにくい。だから自分から左に寄るのだというのです。筋は通っている気がしますが、武士階級が社会全体の行動様式を決めていたとは考えにくいし、21世紀に至るまでそれが伝承されている理由が分かりません。
 学校では交通放棄に従って歩行者の右側通行を教えています。これは一貫して教育されており、車は左、人は右はわが国では常識で知らない人はいません。なのに実際は左側を歩くのです。
 私はこの問題をかなり長く考えてきました。そして、最近一つの仮説にたどり着いたのです。それは関東人は道を譲るために左側通行をするのだ、ということです。つまり、本来通行するのは右側であるということは分かっていながら、自分が右側の道を歩くことによってその道を占有してしまう。そこで予め本来の道である右側を避け、左側を歩いているというわけです。
 このように考えた理由はエスカレーターの乗り方にあります。ご存知のように関東では人々はエスカレーターに乗る際に左側によって立ちます。右側は急ぎの人がエスカレーターを歩いて、もしくは走って昇降するための通路として空けるのです。この習慣もほとんどこの地域では例外がありません。関西地域では右に立つのが主流と聞きますがいかがでしょうか。
 東京の人は歩く速度が速いとは地方出身者がよく口にすることです。私も長く地方に住んで久しぶりに上京してみると、雑踏の中をかなりのスピードで歩いたり走ったりする人に驚いたものでした。だから前にいる人を追い抜く機会はとても頻繁に起こるのです。
 すると、東京人が左側通行をするのは、そのように自分を追い抜く人に正規の歩行路である右側を譲るための行動であったということになります。
 このあたり、まだ検証が必要なのですが、備忘のために記しておきます。