明治の心
生徒に明治時代の文学を教えてみると、登場人物の価値観や人生観が思っていた以上に伝えにくいことに気づきます。もちろん、それは私自身の理解不足が第一の原因です。
例えば、恋愛の場面において告白したり、相談したりする際に、羞恥や躊躇の心に加えて矜恃や品格の問題が大きく関与します。現代人にもそれはあるものの、何というかそれらの比率がかなり異なるようです。
集団あるいは共同体と個人の優先順位に関してははっきりと異なり、それがいまの生徒諸君には違和感を感じさせます。百年の差はやはり大きい。明治文学を教える時には古典と同じ視点が要ります。