はてなの毎日

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情熱力の育成

 日本がコンテンツ産業に傾斜していくことは多くの人が予測しています。いわゆるクールジャパンとして把握されているものの多くもソフトが大半で、ものづくりは副次的なものと位置づけられています。人件費などの格差が生み出す競争力の低下が、ものづくりへの意欲を削いでいることは確かであり、売れないものは造らないという、試合が始まる前から敗北を認めるという風潮も一般的になりました。

 では、その肝心なコンテンツとはどのように生まれてくるのかといえば、想像力だといいます。想像力は自分で考えるという基本にして実はもっとも難しい部類の脳内活動の賜物です。現在の日本の教育が一方向型、知識詰め込み型であるので、想像力が育たなくなっているという話はよく聞きます。画一的な価値観が想像力を乏しくしているのだと。

 この議論になった時、私はいつもちょっと待ってほしいと思います。なぜなら、いま世界に評価されているクールジャパンなる代物を作り続けているクリエイターの多くはその批判的された教育を受けてきた人々であり、その作品を評価し、購入することによって支えている理解者たちも同様にそうした教育を受けてきた人々なのです。想像力を今の教育が生み出していないかのように論じる意見は多分に自己矛盾をはらんでいるように思います。

 コンテンツ産業にとって大切なのは想像力だけではなく、無駄かもしれないことに継続的に力を注ぎ込み続ける忍耐力も必要です。一生懸命やったことが結局失敗に終わるかもしれないが、それでもやり続ける力です。情熱力とでも言えばいいのでしょうか。

 この力を育成するには短期間で結果を評価するシステムの見直しが必要かもしれません。同時に自分の今の位置を常に俯瞰的に把握できる力も育成する必要があります。もちろんそれができればすべてがうまくいくはずの理想的なことなのですが。

 ある学者が提案した小学生の頃には図画工作をもっと組織的にやらせるということや、中高生のうちに人生の設計図をより具体的に考えさせる授業を高い次元で行なうというプランはその意味で有効かもしれないと考えています。

 昨今の国際情勢を鑑みるに、国民全体の知的レベルを維持、さらに向上することは国家存亡の重大事であり、世界平和の必要十分条件ではないかと思うのです。