はてなの毎日

日々の思いを、思うまま

ビラ配り

  断片的な記憶が突然湧き上がるかのように脳裡に浮かぶことがあります。いま浮かんできたのは学生時代にやったビラ配りのアルバイトの思い出です。こずかい稼ぎにと友達に誘われて始めたそのアルバイトはアパートやマンションの賃貸斡旋業者の、カード型のビラを配る仕事でした。裏に鉄道路線図が刷り込まれており、それなりに利用価値はあるのですが、路上で無理にものを貰っていただくことは思ったより容易なことではありません。おまけにライバル会社の者と思われる強面まで登場するなど学生には刺激的な仕事でした。
  それでも、どうしたらビラを渡せる率が上がるのかを自然と追究するようになるのは自分でも不思議です。声の掛け方、相手との距離、差し出す位置などの諸要素を性別や年齢、風貌などから一定の傾向を模索します。策が当たると成功率が急上昇するのが面白かったのです。ところが、時間や場所が変わると先の経験はもう通用しない。また、試行錯誤の繰り返しでした。
  学生時代はそれでも十分に楽しめたし、今から考えると不当なほど安い労賃にも甘んじることができた。都合のいいところだけ思い出した記憶のかけらはどんどん甘美なテイストになっていくのです。
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