はてなの毎日

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人手不足

 昨晩、和食系レストランで食事をしました。スーパーマーケットの中にあるその店はこれまでに何度かオーナーが変わってきたようで、店の名前が次々に変わっています。かつてはショーウィンドウにあふれるほどあった見本が隙間の多い陳列に変わり、メニューが減ってしまったことが明らかでした。それでも比較的安価で周辺では少ない和食系とあって、店内にはすでに10組近い客がいました。

 座席に座ってみると周囲には先客の食べたあとが下膳されることなく放置されており、注文したものを待ちわびる客が待ち遠しそうな素振りをしています。呼び出しベルがあちらこちらでなりますが、事態は一向に改善されていかない。そういうところにまた来客です。どうもこの店にはウエイトレスが1名しかおらず、さらに厨房も1名だけという状況だったようです。それにしては座席数が多い。おそらく、かつてのオーナーは複数の従業員で店を動かしていたのが、今はその適正規模に合わない雇用で運営しているために起きた問題ということでしょう。接客業としては大変残念な状況であり、サービスの質や従業員の健康も心配になります。

 このような場面は現在の外食産業の広範にみられる現象です。人件費削減がその主因だったと思いますが、最近はこれに加えて外食産業のアルバイトにそもそも人が集まらないという状況があります。人件費削減策の行き過ぎで一人あたりの労働量が増え、この業種の労働は過酷で、賃金の割には報酬が少ないという考え方が広まっているからだと思います。先日報道されていましたが、某牛丼チェーン店の場合、深夜のアルバイト時給をどれだけ上げても人が集まらず、ついに営業時間短縮や閉店にまで至ったようです。

 外食産業のサービスの質的低下はこれまでも強く実感してきましたが、人を削って価格を押さえるという商法が行き詰まりを見せていることをこのことは露骨に示しています。本来、収益を得る上で目指すべき「味」と「サービス」とがいまは「効率化」より優先順位が下なのです。一時期注目を集めてもあっという間に消えていく店が増えたのも効率化ゆえのことなのでしょうか。