名前の記憶力

　職業柄人の名前を覚えることが大切なのですが、私はそれほど得意ではありません。もともと苦手だったのですが、さらに加齢とともに記憶力は漸減しています。古くからの付き合いのある人ならばいわゆる長期記憶に収まっているのですが、今会った人の名前をすぐに覚えて、それを忘れないでいるということが苦手なのです。

　最近、メガネ型のコンピュータが開発されており、それに顔認識ソフトを組み込むと、人物を見た瞬間に名前やそのほかの個人情報まで表示するということが理論上可能になっているとか。すると世の中に「顔見知り」が膨大に増えてしまうことになります。

　個人情報の中には秘匿権のあるものが多く、またそうでなくても忘れてほしい要素というのは誰にでもあると思います。もし、ウエラブル・コンピュータのようなものが本当に普及したとしたら、私達の生活はどのようになってしまうのか。SF的に想像してみると空恐ろしい物があります。

　対人記憶が適当に曖昧なのは実はこの社会を円滑にしている大切な要素なのかも知れないとも考えています。