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代ゼミ・ショック

  大手予備校の代々木ゼミナールがかなり大規模な業務縮小を発表しました。かつて代ゼミといえば塾・予備校の代名詞のような存在でした。私は浪人こそしませんでしたが、夏期講習などに代々木校舎に通ったことがあります。大教室にカリスマ的な教員がパフォーマンスを繰り広げる一種のショーのようなものでした。おそらく現在のその他の予備校でも似たようなものが多数なのでしょう。
  代ゼミがつまずいた原因は少子化であるとの報道がなされています。それは間違いではないでしょう。ただ、難関大学受験者の需要は少子化のレベルほど低下していないと考えられますので、おそらくは時流をつかみ損ねたといえます。大教室の一斉授業というスタイルは、いまの生徒たちの学校生活には程遠く、集中力を保てないということがあるのではないかと思います。
  某予備校はカリスマ講師の講義の映像をビデオなどで個別に見ることで成り立っているとか。講師と対面することなく、授業をするのは放送大学と変わらない。いつでもどこでもできるという訳です。この形式が成立するためには講師に対する信頼感が不可欠ですが、マスコミやネットへの露出によってそれを行っています。スクリーンを通しての授業は今の生徒には抵抗感がありません。ただ、本当に教える、習うという現場感というか、充実感というものがあるのかという情緒的疑念が私にはあります。
  別の予備校では、卒業した受験の成功者を雇いチューター役にさせるという方式を取ります。教育の技能は期待出来ませんが、直近の受験経験者の生の声は生徒には受け入れやすい。予備校側も安価な費用で雇うことができるので効果的です。
  おそらく、その他にも様々な工夫がなされて予備校は独自性を打ち出しています。それに成功すればそれぞれの規模で収益をあげられる訳です。
  こうした情勢は高校それ自体にも及んでいます。教育が本来の目的から逸脱して、生徒の確保そのものを目的にすることは多分に問題がありますが、これを教育の改革なりより効果的な方法の模索の契機とするのならば、意味が出てくるでしょう。
  代ゼミの縮小は教育の現場での時代的な変化の一つの象徴なのかも知れません。