はてなの毎日

日々の思いを、思うまま

百年前の日本

  今年はサラエボ事件から百年目に当たるので、その頃の日本の情勢について語る本が数多く出版されています。その一つを読んで思うのは、二つの世界大戦がこの国のあり方を激しく変えたという事実です。
  第一次世界大戦の主戦場はヨーロッパであり、日本は中国のドイツ領の攻撃などで連合軍側に功績があったとのことで国際的発言力を伸ばしています。その影には手探り状態で外交を行った当時の外務官の苦悩がありました。国際連盟においてその地位を確保したのは彼らの功績だったのです。
  ところが、国内の状況はとても悲惨で、戦争成金と呼ばれる一握りの富豪と、親が死んでも葬儀すらできず、腐敗する亡骸と過ごしていた細民が存在するという有様でした。犯罪は日常化し、道徳心が消えていたのです。
  近頃、日本人が世界でも稀な高潔な民族であるかのように語られる場面に接しますが、百年前を考える限りそれは疑問です。むしろ、様々な失敗を経て今の状況が生まれたことを考えるべきなのです。