はてなの毎日

日々の思いを、思うまま

もはやアナザーワールドではなく

  ネットワーク上の発言は現実とは別物だと主張するブログの記事を読み、なんとも複雑な気持ちになっています。
  確かにインタラクティブなメディアの誕生によって私たちは声なき大衆ではなくなり、積極的に情報発信ができるようになりました。ただ、発言の機会はあっても社会的立場が変わるはずはなく、自己の立場を守るためには匿名という手段も使われています。恐らく現状では情報を入力した端末の特定をする技術はあるのでしょうが、誰が発信源かを突き止めることは状況証拠なしには不可能かと思います。この事実が自己露出を回避する隠れ蓑になっています。
  自分を明かさなくてもものが言える自由さは、弱者の発言の場を確保しましたが、一方で誹謗や中傷を無責任に行い強者を気取る機会も与えてしまいました。結果として、誰もが他人を攻撃でき、その裏返しとしての自己への非難を常に恐れなくてはならない環境が生まれたことになります。
  ネット上の世界がアナザーワールドであるという幻想はもはや願望の領域のものになっています。その夢を見続けたい人にとって現状は厳しいものであると言えるでしょう。