はてなの毎日

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教養より技能?

  大学選びの論議のなかで必ず出て来るのが教養か実用かというものです。大学は最高学府であり、象牙の塔に浮世の問題は無関係という古き良き時代は去り、今はとかく就職に役立つということばかりを気にします。これは当の受験生ではなく、親や教員が半ば脅迫観念として持っている最近の風潮です。我が国の先行きに閉塞感が見えはじめた頃から、役に立つ学問を、いや学問よりもスキルの習得をと言い出しています。はたしてこれは実情と合致しているのでしょうか。

  ある企業で人事を担当している方に伺った話では、実際に役に立つ社員は大学で取れるスキルは無関係なことが多く、必要なのはむしろ柔軟な情報吸収やコミュニケーションの能力であるということです。そのためには基礎的な教養と、置換不可能の専門領域が不可欠というのです。始めから職に必要な技能にしか関心のない人材は、複雑に変化する世情への対応ができないという訳でしょう。
  文学なんてやってもとか、理系なら理学部より工学部でしょうなどと平気で口にする人になんと説明すればよいか。実は大きな悩みでもあるのです。