はてなの毎日

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必要な力

 これからの先の見えない社会を生き抜く力をつけさせるためには、小手先の知識では通用しません。その場の試験を乗り切る力を求めるのではなく、生涯にわたって使えるスキルを身につけさせなくてはなりません。私はその力を「問題発見力」「忍耐力」そして「自尊心」ではないかと考えています。

 もちろんこの他にも必要な能力はたくさんありますが、それはこれらの力を身に付けることによって必然的に備わると思います。自分にとって何が問題であるのかを把握するのは実はたやすくありません。地図を持たずにここはどこであるのか認識するようなものです。ただ、このことを行うことによって、次に目的地に安全に到着するためにはどんな手段があるのか、交通機関を利用するのならどれがいいか。そのためには何を調べればよいのかなどを考えるようになります。それらは自主的に頭を使って考えなくては答えが出ません。実際の社会は混沌としていて考え方の道筋すらつかめない事がある。そこでなにが問題点であるのかを見つけ出し、考える優先順位や手順を考えさせることが必要になってくるのです。

 問題点が見つかっても解決する方法は分からないことが多いものです。従来の教育ではこの点を軽視して解決法を考えさせることなく、効果的な答えの出し方、場合によっては答えそのものを教えてしまっていました。大切なのは効率性ではなく、効果的に回答するための方法を自ら考えだすことだったのです。でも、なかなか答えが出ないことや、試行錯誤を繰り返すことは大変なストレスが伴います。その懊悩に耐える力こそ、若い頃に身につけなくてはならない能力なのでしょう。先日、このブログで書いた失敗する機会を与えることも、この力を付けさせる手段としてあるべきだと思います。

 そして、大切なのがプライドを持たせることです。自分を信じていなければ自主的なものの考え方などできるはずはありません。ただし、高慢な考えしかなければ周囲は見えず狭いものの考え方しかできません。学校の役割は自尊心の調節をさせることにあると考えます。

 これらのことを考えると教員が何をやるべきか、少しだけ見えてきました。これまで直近の成績ばかりに囚われていましたが、それでは一定の水準を超える人材を育成することはできない。教員は規定の情報の伝達者ではなく、可能性を引き出すきっかけを与える存在にならなくてはならないと痛感するのです。

 毎年、年度末になるとこのような自己反省を繰り返しているのですが、実際に学期が始まると些事に追われて本来のやるべきことを忘れてしまう。来年度のテーマとしてこの3つの力の育成をあげておこうと思ったのです。