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表意文字の意識を持たせるために

 漢字の小テストといえば、カタカナを漢字に直せか、漢字の読みを書けの問題が定番ですが、この方法だと学習者は丸暗記をすることを優先してしまいます。漢字は表音と表意のハイブリッド文字であり、これが日本語における特徴になっています。

 漢字文化圏である中国や韓国などでは漢字の読みは原則として一つであり、同じ文字は同じ発音で読みます。(例外もあります。)ところが日本語では一つの文字を複数の読み方をします。たとえば「学」はガクという読みとともに送り仮名を伴って「なまぶ」とも読みます。いわゆる音訓の読みが一つの文字に集約されているのが日本語の特徴です。これは大変厄介なことである反面、大きな利益ももたらします。水素は科学用語でありますが、水(みず)の素(もと)と読める日本人にとっては日常語レベルで解釈できます。Hydrogenはラテン語由来のHydroを知っていることが前提で水との関連が推測できます。waterとは似ても似つかぬ語です。漢字は高度な言語に使われても透明性の高い性質を持っています。

 ただ、この利点を使える条件は、漢字の音訓の両方の読みを知っていることにあります。「素」がソと読みながら「もと」の意味もあるということを音訓としてセットで覚えてこそ、この方法が機能するのです。日本の漢字教育はこの利点を活用させる力を身につけさせることが必要です。

 そこで漢字の小テストに漢字の音訓を意識させる要素を加えるべきだと考えました。設問の方法として意味から漢字を考えるということを意識させる問題を作ります。

 

 次の□□に当てはまる漢字を、その意味を参考にして書きなさい。

 広く情報を□□する。

      ↑自分や関係者以外にも知らせること。

のように、意味を感じさせることによって漢字が表意文字であることを明確に提示するのです。

 漢字の問題が単なる表音文字の暗記にならないよう、出題側も十分に考える必要があると感じているのです。