はてなの毎日

日々の思いを、思うまま

2学期の学級委員

 転校生だった私にとって2学期は恐怖の学期でした。私の父の辞令は7月20日頃にでるため、小学生だった私は学期末にいきなり転校が決まり、多くの場合同級生に別れの挨拶ができないままその地を去るということが続きました。それゆえ、2学期のはじめは必ずと行っていいほど、知らないクラスにいきなり訪れる転校生になるのです。

 小学生は思っているほど寛容ではありません。異質なものは徹底的に排除し、差別をします。私はそういう思いを何度かしているうちに、環境調節能力のようなものが身についてきてしまいました。つまり、新しい級友との付き合い方を覚えてしまったのです。はじめは異質性を極力隠します。厄介なのは方言ですが、最初はぎこちなさを売り物にします。すると、何故か助けてくれる友人が生まれるのです。彼らはもっとも大切な友人です。その間にその地域の遊びを覚えます。また子供なりのヒエラルキーを察します。そうすると、段々と付き合い方が見えてくるのです。

 ある程度、その地域の人間関係がつかめ、さらに自分の立ち位置がわかって来た時、自分の特殊性が売りになる時が来ます。自分の経験が同級生とはことなることが価値になる時が来るのです。

 そんなわけで私は3学期の学級委員になることがとても多かったのです。私は模範的な生徒では決してありませんでしたが、他の児童から見ればとにかく珍しかったのです。そのようなものが立候補すれば、ほとんど間違いなく学級委員の職は確定するのです。

 私はかようにして物珍しさで3学期の学級委員を繰り返して来ました。今から思うに2学期の学級委員こそわが理想です。認められたリーダーなのですから。私はいまは教職にあり、どの役割にも等しい価値があると教えています。そして実際にそうだと思うのです。ただ、かつての癖でどうしても2学期の学級委員に一目をおいてしまう癖があるのです。