はてなの毎日

日々の思いを、思うまま

幻想のホタル

  この時期になると少年時代に見たホタルのささやかな光を思い出します。東急田園都市線にまだ緑の電車が走っていた頃、たまプラーザの次は江田でした。今、あざみ野駅がある辺りは田園風景が残っていて、農家の脇には用水路がありました。
  六月下旬か七月上旬のまだ梅雨のただなかの夜、父に連れられてその用水路まで行ってみると、脇の草むらから淡い光が見えるではありませんか。友達からヘビの目も光ると脅されていた私はいすくんでしまいました。その時、淡い光はそっと飛び立ったのです。
  数匹のヘイケボタルを持ち帰った私が、その儚い命を奪うことになったことに罪悪感を覚えることになったのは言うまでもありません。ただ、幻想の光となって今でも時々、脳裏に浮かび上がるのです。