菊花
隣家に菊の愛好者がいらっしゃって、この季節は大輪の鉢植えが並んでいるのを見せていただいています。白、黄、紫と色もとりどりで見事です。
菊は皇室の紋章にもなっているので、日本の在来種のように感じますがどうも違うようです。万葉集に菊花を詠うものはなく、懐風藻の菊花にも実体が感じられません。奈良時代以前には我が国に菊花は存在していなかったか、あったとしても題材になるほどの関係性が生まれていなかったのかも知れません。
古今集の時代になると、菊は大切な秋の景物になっています。
心あてに折らばや折らむ初霜のおきまどはせる白菊の花
躬恒の歌は理に走っているとの評価もありますが、誇張された色彩感覚はアートとしての価値が感じられます。
ここで詠われた白菊も私たちが感じる以上にエキゾチックな感覚が伴っていたのかも知れません。