はてなの毎日

日々の思いを、思うまま

ラファエル前派展

 渋谷のbunkamuraザ・ミュージアムで行われている「英国の夢 ラファエル前派展」を観てきました。ビクトリア王朝時代の絵画の革新的運動であったラファエル前派と呼ばれる人たちの作品の流れを時代の流れや、テーマに沿って展示したものでした。

 19世紀半ば過ぎの作品の多くは明るくしっかりとしたタッチの作品が多く、美男美女を描いた作品が目立ちます。物語の挿絵であるような感じさえしました。細部の光線までを描こうとした写真のような絵もありますが、それが細密であればあるほどどこか感情というものが表現されていない気もしました。つまり画家が何を見ているのかを感じることができない気がしたのです。丹念に描かれている絵画にリアルを感じないという不思議な感覚を得ました。

 19世紀も末に近づくと象徴主義的な作品が出てきます。神話や物語をテーマにした作品も多く、リアルという点からすると正反対の方向にあると言えます。ただ、そこには画家の意図が確かに感じられるような構図や、焦点のようなものを感じることができました。私は印象派の絵画にも惹かれますが、こうした象徴主義の作品も見直すべきだと感じたのです。

 ラファエル前派の代表作であるオフィーリアはありませんでしたが、多くの大作が並べられておりなかなかいい展示だと感じました。