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光と緑の美術館

 相模原市中央区横山にある光と緑の美術館に行ってきました。個人の開いた美術館であり、小さいですが収蔵の趣味がはっきりと出ていました。今回観たのは「イタリア20世紀美術 巨匠たちの表現~M.マリーニ、G.マンズー、P.ファッツィーニ、E.グレコの版画、素描、彫刻~ 」と題されたものでした。

 マリーノ・マリーニの作品はかなり抽象的な絵画で、馬とその騎手の姿がかなりディフォルメされて描かれていました。ペリクレ・ファッツィーニの繊細そうな馬の彫刻もありました。猫の彫刻はマンズーのものだったのか失念してしまいました。

 私が最も印象に残ったのはエミリオ・グレコのエッチングでした。人物画なのですが、ごく一部分だけが細部まで線が描き込まれているのに、それ以外は輪郭しかないのです。そういえば私たちがものを見る時、集中してみるところはそれこそ細部まで観察し、場合によっては見えないものまで見ているのに、それ以外の部分は視界に入っていても意識されていません。それを絵で見せてくれているような気になり、不思議な思いになりました。

 この美術館は事実上一つの展示室しかなく、作品数も多くはないのでちょっとがっかりする人もいるかもしれません。でもその代わりに入場者も多くはないので、じっくりと作品世界を堪能することができる空間があります。

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