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記録の読み方

 マイアミ・マーリンズイチロー選手が先日、ピート・ローズのMLB通算4256安打を日米通算で上回ったと報じられています。現地でも同様の報道がなされています。この記録に関しては毀誉半ばで、記録の意味についても様々に評されています。

 私が考えるにこの数字自体に意味はないと思います。まったく基準の違うものを同じ尺度で計ることは算術的におかしい。日米のリーグではレベルが違うとの言い方もありますが、それは分からない。最近はアメリカで活躍する日本選手が増えています。タフィ・ローズのように日本に来て成功を収める選手もいれば、鳴り物入りで来日したMLB選手がまったく日本野球では鳴かず飛ばずであった例も多いです。レベルの差はあるにしても単純には比較できません。

 球場の大きさも関係があります。大きな球場の方がヒットは出やすいという仮説はかなり可能性が高いし、狭ければホームランは当然出やすくなります。選手の年間移動距離も違います。大陸を縦断するMLBと日本列島の中で行うNPBでは選手の疲労度が違います。年間試合数も関係します。MLBは試合数が多く、記録を出すうえでは有利です。という風に考えていくとまったく違うものを同一尺度で考えること自体が無理であることになります。

 では、イチローの安打記録はどのように位置づけるべきか。多くの方も指摘している通り、異なるリーグでの通算記録の世界一と位置付けるのが妥当でしょう。あるいはMLB(もしくはNBP)を含む複数のリーグでの通算記録という言い方でもよい。このジャンルを設けるならばおそらくはしばらくはだれも抜くことができない偉大な安打記録として正当に位置づけられます。異文化の中で自分のパフォーマンスを維持すること自体が大変な努力のたまものであることを私たちは賞賛すべきなのです。