はてなの毎日

日々の思いを、思うまま

正義感に似たわがまま

 相手の非をつくのに厳しく、一切の許容がないという一見正義にも似たわがままが世間に横行しています。特にネット上の情報に関しては、大変手厳しく、一方では思いやりに欠けた意見を言ってのける輩が散見されます。

 もちろん、言論、思想の自由の名のもとにおいて各自が思うところを発言することは決して悪いことではありません。むしろ、過去の社会には存在しなかった誰もが情報発信者という状況は理想的だともいえます。しかし、これも自らの立場のみで発言し、他人の置かれた環境を一切無視する偏狭なものの見方を連発する事態にあっては話は別です。言論の自由がかえって人を苦しめ、それを恐れる人は発言ができなくなるという悪循環をもたらします。

 発言者の多くは自分は間違ってはいないと考えています。あるいはこの程度の発言ならば許容範囲だという仕切りを個人で勝手に設定してしまっています。結果として非常に不適切で不寛容な表現が繰り返されるのです。自らの正義に則って発言していると彼らは思っていても、その無配慮は確実に社会を蝕みます。

 正義感によく似た自己本位で閉じられた価値観を、どのように社会に適応させていくのか。自分なりの価値観だけで他人を断罪して平気でいる人々に、その非をどのようにして悟らせるのか。それが現代人に課された問題であり、克服しなければならない社会現象であるといえます。