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解決力

 問題解決力の育成が国語教育の大きな課題になってきています。これは、従来の与えられた道筋をたどるだけの読解の上をいく能力であり、自主的な問題への取り組みが欠かせません。これを教室でどのように身につけさせるのかということについては、さまざまな議論があります。ICTなどを使って生の情報に触れさせるのがよいとの意見もありますが、私は少し段階を踏んだ方がいいと考えます。

 従来の教科書の文章や、教員の用意した副教材等でまず情報を限定した中で生徒に考えさせることを繰り返した方が「国語」の操作能力は上がるのではないかというのが私の考えです。情報収集に関しては様々な情報機器や検索サービスの発展により、ほとんど予備知識なしでも利用できます。肝心なのはそのあとで、集めた情報のなかでどれを使い、どれが無効であるのかを見極め、その中でそれらを使ってどのように立論するかという過程です。この段階のことを教育するのが国語の役目だと思うのです。情報の洪水の中で雑多な情報を掬い取るための能力は教室で教えるのが難しい。大切なことではありますが、これは個人の経験や価値観に因る部分が大きい。あえてこの段階は飛ばした方が教育の効果は上がるのではないでしょうか。

 こうした限定した情報中でものを考えさせる試みの中には、教師の与えた資料だけでは立論はできないという生徒が出てくることも期待したいと思います。つまり、これだけの情報では言いたいことはいえない。その理由はこれが足りないからだ。というようにいえる生徒が出現すればその授業はかなり成功に近づいたといえるのです。

 メディアリテラシーや立論の型、使用すべき言語の選択、反論方法、質問方法など国語の分野が比重を置くべき点はどこにあるのかを見極めなくてはなりません。問題を解決する力を教えることが、これからの国語教育の大きな要素になると考えています。