はてなの毎日

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絵は口ほどに

 町田市立国際版画美術館で開催中の「風刺画って面白い?」「小野忠重コレクション展」を観てきました。まったく趣の違う展示を続けてみることになりました。

 「風刺画」の方はウィリアム・ホガース、オノレ・ドーミエらの歴史的な価値のある風刺画を展示していました。銅板に彫られたことにより、複製が流布し多くの人に影響を与えたのかもしれません。教訓的な内容を扱う連作の中にも細かなアイテムの中に当時の世相を皮肉ったものが描き込まれていました。政治的なものも多く。体制批判と考えられる作品も多く展示されていました。中には、弾圧から免れるために、寓意性を高めた作品もあり、何が言いたいのか理解しにくい作もありました。

  アイロニーは少し方向を変えれば悪意にもなります。参考展示の風刺画は明らかな差別をテーマにしており、大変不愉快なものでした。こういう作品はいろいろな意味で紙一重なのです。

  少し前のパリのテロも風刺画が発端ということでした。絵は時には饒舌であり、弱者の意見を語る器にもなり、悪意、中傷の具にもなります。そういうことを考えさせられる展覧会でした。

  小野忠重コレクションは戦前戦後の世相を描いたもので風刺画とは好対照でした。戦中の圧迫感のある作品に感銘しました。

  二つの企画を並べたことには個人的には抵抗があります。余韻を消し合う気がしたのです。大切なのは時間をかけて鑑賞し、両者を混同しないことだと思います。

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