遠近法の混乱
遠近法がおかしい絵画を見たときの不自然さはなんとも形容しがたいものがあります。それを不快感と呼ぶこともできるかもしれません。しかし、絵画でなくても似たような気持ちになることがあります。
メディアを通して伝わってくる情報は多分に親しみやすく身近な装いをしていることがあります。まったく疎遠なことなのにあたかも自分にだけ語りかけているかのように感じられるのです。それは念入りに仕組まれた結果であり、そのようなものとして作られているのに過ぎません。
しかし、私たちは本当に身近にあることと、実は遠くにあるのにすぐ近くにあることとの区別が時々できなくなるようです。その結果、悩まなくてもいいことに心を痛め、考えるべきことを看過してしまいます。
これもまた遠近法の歪みなのかもしれません。困ったことにこの方は目に見えず、妙な不快感だけが心にきざすのです。この頃そんなことを思う機会が増えました。