落語の役割
笑点という番組がゴールデンアワーに放送されるようになって、帰宅が遅い私でも視ることができるようになりました。出演者が随分世代交代しているのに、やり方が殆ど変わらないのはよいことだと思います。
放送されるのはほとんど大喜利なのは少し残念です。当意即妙の小咄は確かにおもしろいのですが、私が聞きたいのは落語です。番組の尺に合わないのでしょう。また、落語そのものを楽しむのはそれなりの集中力というかのめり込みというかそんなものが必要なので、テレビ放送には適さないからかも知れません。
落語は日本の口語文体の確立に寄与したと聞きます。二葉亭四迷や夏目漱石などの明治の作家も落語の口調やその速記本を参考にして近代文学にふさわしいスタイルを作りました。その意味においてこの伝統話芸が果たした役割は大きい。
口頭言語コミュニケーションにおいても、一人で多くの人物を演じ分け、聴衆を感動させる手法は大いに役に立つと思います。ICTに頼る前に話術の向上をはかることが大切だと思うこのごろですが、その際に落語は大きなヒントを与えてくれそうです。