はてなの毎日

日々の思いを、思うまま

感覚の境を越えること

 ムソルグスキーの「展覧会の絵」は実際の絵画を音楽にしたものと言われています。もしもその通りならば、視覚的な対象を音楽に変換したことになります。このような感覚を越えた表現力に注目すると芸術のありかたの一面が分かります。

 絵画も単に視覚的なものだけを写し取っただけではありません。よい絵画には音楽が流れ、嗅覚的なものを感じさせるものがあります。また描かれた人物の心理が浮き出すように感じられるものもあります。描かれているのは視覚を超えたものです。

 小説は文字を使った芸術ですが、よく書かれている作品の読者は作中から様々な感覚を受け取ります。それがあたかも自分の実体験であるかのように心の中に納まることもあります。そこに音を感じたり、色を感じたりするからです。

 芸術とは異なる感覚の境を超える表現であり、それが魅力の源であることに気づいたという次第です。