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ti問題だけでなく

 小学校で英語を教えるようになって日本語のローマ字表記の方法をめぐる問題がクローズアップされています。小学校では訓令式と呼ばれる日本独自の表記法が教えられています。これは50音図の仕組みをそのままローマ字に置き換えた考え方で、タ行は

ta ti tu te to

となるのですが、外国人の多くがこれを「タ、ティ、トゥ、テ、ト」と読んでしまうため、社会一般ではヘボン式といわれる、

ta chi tsu te to

が使われています。この方がまだ日本語に近い読みをしてもらえる可能性が高いということです。「つ」は日本以外の国ではあまりない発音らしく、韓国語や中国語にすら同じ音韻がありません。

 ヘボン式というのは明治学院の創始者のジェームス・カーティス・ヘボンという宣教師が、その著書「和英語林集成」という辞書の中で使っていた日本語表記法です。ヘボンペンシルバニア州出身のアメリカ人ですから、英語圏の人に日本語の発音を期待するにはヘボン式の方がうまくいくのです。例えば「町田」は訓令式ならMatidaでマティダかマッティダと発音される可能性がありますが、Machidaならばマチーダくらいで済みそうです。タ行以外でもザ行、ダ行、チヤ行などでもヘボン式の方が日本語に近い音を表せるようです。

 もう一つ大きな問題があります。それは長音の扱いです。日本語の特徴として伸ばす音を音韻として認識するということがあります。だから小野(おの)と大野(おーの)は別であり、鹿(しか)と詩歌(しーか)は区別します。韓国語を勉強した時、韓国には長音の意識が希薄であると知りました。中国語もないようです。英語も一見、coolやtalkなどで長音があるかと錯覚しますが、これは長音ではなく音韻の一つで、ある音を伸ばしているという意識はないそうなのです。そこで、長音をどう表記するかが、大問題となります。

 訓令式は日本語の長音記号と対応する記号を付すことでこれを克服しようとします。これは母音の上に ̄のような記号を付けることで、その音を2拍とることを表すというやり方です。しかし、これはコンピュータなどではの入力が難しく

大野 Ōno     詩歌 Shīka    中央 Chūō

などやれないことはないですが面倒です。端末によっては文字化けすることもあるそうです。そこで特殊文字を使わずに長音を表す方法が求められます。これは段によってやり方が変わり、

あー aa, ah  いー ii  うー uu

えー ei, ee  おー oh,  oo,  ou

 などがあります。これは語ごとの構造によって使えるものとそうでないものがあり、一層ルールが複雑になっています。

 韓国では人名のローマ字表記に関しては一定のルールはなく、自分が名乗りたいように名乗っていいそうです。朴さんはPark, Pak, Bakなど多数の表記法がありどれが正解というものでもないそうです。日本はパスポートはヘボン式で書かなければならないという慣例があり、それ以外の表記で書く場合は手続きが必要なようです。日本語を日本語以外の表記法で書くこと自体に無理があるのですから、これは割り切って考えなくてはならない。日本人が表記の仕方を決めて世界の人々に従ってもらうか、世界に合わせてその都度書き方を変えるかのいずれにするかということです。グローバル社会にふさわしい教育をするというのなら、この辺りは態度表明をしておいた方がいいかもしれません。

 ちなみにヘボン式を作ったヘボンさんの英語つづりはHepburnであり、Audrey Hepburnと同じヘプバーンさんです。ヘボンというのは自らが日本語化したカタカナ表記だったらしく、さらには「平文」という漢字表記まで考案したとか。一つの発音には一つの表記しかないと考える日本式の考え方はもしかしたら実態に合わないのかもしれません。

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