はてなの毎日

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オルセーのナビ派展

 有楽町駅近くの三菱一号館美術館で開催中の「オルセーのナビ派展」を観てきました。長い間、東京で暮らしながらこの美術館の存在を知らず今回が初めての訪問でした。都会の真ん中の美術館ですが、もともとオフィスビルとしてつくられた洋館の外見を再建した建物で、中身は現代的なものになっていました。展示室が小さく区切られており、暖炉風のオブジェが造りこまれているなど、面白い工夫もありました。

 さて、ナビ派というのは19世紀末にパリを中心に起きた芸術運動の一派です。ゴーギャンの鮮明な色使いに影響を受けた画家たちが、日本の浮世絵の平面的な絵画の手法も取り入れ、印象派よりもよりはっきりとした輪郭線を描くのが特徴です。リアリズムより絵画としての完結性を重視したということですが、今回の展示を観てやはりかなりわかりやすい絵画が多いと感じました。

 注目したのはモーリス・ドニという画家の作品でした。妻のマルトの肖像をたくさん描いており、その絵はどちらかといえば平面的な絵で、人物の表情だけが不思議に印象的でした。風景を正確に写すというよりは、絵画の手法を借りてそこに画家の思いを表現しているような画風といえます。このような絵があるとは知りませんでした。

 疲労が抜けない日曜日でしたが来た甲斐があったと思います。