はてなの毎日

日々の思いを、思うまま

耳が痛い日本人論

 日本人論の中には自虐的史観によるものもあります。明治の知識人の一部はそれまでの歴史を全否定していたといいます。太平洋戦争後の世相もそれ以前の社会のあり方を否定することから始まりました。

 最近の社会論でも日本型の組織構成や運営管理方針について否定的に論じることが多くなってきています。従来のように発展が目に見える時代ではなくなったために、これまでの方法ではたちゆかない、超高齢社会の原因も、それがもたらす種々の弊害もすべてはこれまでの社会のあり方に原因があるとする考え方です。

 日本人論の多くは結果分析であり、過去の社会への批判です。そのため思い当たることは多く、歯がゆい気持ちになるものもあります。ただ、これはある程度は必要であり、反省が次につながるのです。日本人は特別だとか、優れていると無根拠で説く書物は疲れたときに読む清涼剤以上の働きは期待できません。むしろ、辛口の自己批判こそが次の展開へのきっかけになってきたのです。

 そういうつもりで日本人論は読むべきであり、それが可能な限りは存在意義があると思います。