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消せない筆記用具

 かつて文字を書く筆記用具は筆で書くしかありませんでした。それが万年筆になっても基本的には同じです。ところが鉛筆が登場したことで書き直しができるようになりました。何度でも書き直せるという事実はノートの紙面のあり方を変えただけではなく、思考の方法も変えたのではないかと言われています。

 この傾向はワープロの登場でさらに大きな変貌を遂げます。何度でも書き換えられるだけではなく、準備を入れ替えたり、同じフレーズを再利用したりすることも容易になったのです。私も文章を書くとき、思いついたところから書くという方法をとることが多く、アウトライン機能を使って順番を全く入れ替えてしまうことをよくやります。

 訂正可能な筆記手段は大変便利なものなのですが、これには批判的な意見もあります。いつでも消せるという前提が思考力低下を促しているのではないかという懸念です。論理の行方を想定せずに考えたり、書いたりするのでは脳内で論理の全貌を把握しようとする意志が働かず、結果としてよく考えないで書くことが常態化してしまうという訳です。

 最近、私は授業準備のノートを万年筆で作成しています。もちろん修正テープはよく使うのですが、それでも大幅な変更はできないので、少し考えてから筆記する癖がつきました。また、既に書いたことを消さずに残すことを思考の過程を保存したと割り切るようになってきました。少なくとも手書きの段階においては、このようなものの考え方の方がよいのかも知れないとも考えるようになっています。

 とはいえ、このブログは携帯電話で書いており、ここに至るまで何度か書き換えもしています。手書き、推敲、清書という作業はいつでもできる訳ではありません。ただ、思考力の涵養という一事においてはときには万年筆なり、ボールペンなりで文章を書くことは欠かせないのではないでしょうか。

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