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察しの悪い教員になる

 指名して答えさせることは授業の中ではよくあることです。低学年の授業ではなるべく一時間に一発言はさせることを目的として指名を連発します。指名すると多くの生徒は答えを単語かその組み合わせで答えようとします。そしてそれは大体正解です。しかし、私はあえて納得いかないような顔をすることにしています。多くの生徒は困惑し始めます。

 私はそういう時にしばしばこんな言い方をします。今私はあなたに質問したのだから、あなたは私に対して答えてください。それも私は察しが悪いのであなたの気持ちを汲み取れません。最後まではっきりと文で答えてください。だって、あなたの言った「A」という答えがとても自信なさそうに聞こえましたし、おそらくあなたははAが答えだといいたいのだと思うけれども、「Aではありません」と言おうとしているのかもしれない。「A以外です」と言おうとしている途中かもしれない。だからはっきりと「Aです」と言ってほしいのです。できれば根拠を添えて。

 私はこういうことをたびたびいうので生徒諸君は最初に当惑し、あきれ、反抗期の諸君には心中で舌打ちをされているはずです。それでも察しの悪い教員になることは国語教師にとっては大切なことだと思っています。国語科にとっては答えが何であるかよりも、どう答えたのか、どう説明するのかの方がはるかに大切な指導ポイントであることが多いからです。大人の社会では忖度することが出世のためには良いらしいのですが、忖度されることは国語の教室では子供にとって害にしかならない。そう思っています。