はてなの毎日

日々の思いを、思うまま

夢の実現

 ある生徒から言われたことがあります。

「先生は夢を持つことが勉強を続けるためには必要だと言いますが、それってどういうことですか」

 多少違うのですが、要約するとそういうことを言ったことがあります。学習は他からさせられるのと、自発的に取り組むのとでは効果が顕著に異なるという考えです。学習の内発的動機が不可欠であることを示唆したのです。

「それって、自分の欲望を満たすために勉強するってことですよね」

 夢を欲望に言い換えてきました。欲を満たすのと夢を叶えるのでは意味が違います。生徒にはそれを説明しなくてはなりません。やりたいことをやる、またはやりたいことをやるために何かをやるということにおいて欲望の充足という表現は通用します。ただ、夢にはその果てに理想的な次の段階を想定しているのに対して、欲にはそれがありません。さらには欲を満たすという語には自己本位の色が濃い。

「じゃあ、私たちは他人のために勉強するんですか」

 生徒の質問は三球目も直球です。ある意味、人のために学習するということは事実です。学校で教えようとしているのは、人間という社会を形成することが不可欠な動物にとって必要なスキルです。ただ、人のためになることは結局自分のためになることですから、先の質問には首を振ることになります。

 中学生と話していると自らの思い込みや、自分で勝手に設定している説明不要ラインを間違ってひいていたことに気づかされます。