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文法を教える

 中学生に国語文法を教える際にいつも気になっていることがあります。成績のよい生徒でも文法の知識の定着には時間がかかるということです。直後に行うテストで満点を取っても、2か月後のテストでは忘れてしまう。

 それは必ずしも生徒の怠慢のせいだとも言えないようです。かなりの確率で多くの生徒がそうなる。普段の勤勉性とも無関係です。これは中学生の思考法、あるいは発達段階と関係があるのではないかと思っています。

 文節や品詞の概念や、用言の活用、さらには付属語の意味などは抽象度が高く、把握するのが難しい。呪文風に暗唱させたり、何度も書かせたりしても、実体なきものに記憶は残りにくいのです。

 文法教育を成功させるには生徒に言葉の仕組みについて興味を持たせることが欠かせません。「行く」に「ない」をつけたら、どうして「行くない」ではなく「行かない」なのか。こうした活用を私たちが瞬時にできるのはなぜか。「行く」以外の動詞でも同じように切り替えができるのはどうしてなのか。といった疑問に着目させ考えてもらうことが要るのです。

 そして、何よりも大切なのはこうした現象を自分自身の言葉で説明できるようにすることなのでしょう。抽象度の高い知識は自ら具体例に当てはめる作業を経過して身につくのだと思います。

 短時間でこうしたことを授業内で実践するのは難しいのですが、急がば回れの諺に従う必要を感じています。