学校は勉強するだけのためにあるんじゃないよ

　何かが不安で学校に来られなくなっているんだね。誰にでも不安はあるものだよ。君だけが特別じゃない。それを素直に認めることができる分だけ、君は真面目に物事に向き合っているんだよ。間違ってはいない。僕だって毎日不安で、失敗ばかりで、また失敗を重ねそうで不安なんだ。いや、立派なんかじゃないよ。不安で怖くてもごまかしているんだ。それにこの歳になるといいこともよくないこともすぐに忘れてしまうんだよ。

　勉強がついていけるか不安だって？　確かにたくさん休んでいるからね。おそらく授業の内容は難しく感じると思うよ。でもね。それは何とかなるものだよ。毎日学校に来ている人だって授業中に居眠りしている人だっているだろう。僕は教員だから起こすけどね。でも、起こしたって眠い時は頭に入らないだろう。そういう人だっているんだよ。すべての人が毎時間100％集中しているわけではないよ。

　それに、勉強は興味を持てば追いつける。自分がやりたいこと、興味があることに数学が必要だと実感したら急に数学ができるようになるよ。正確には数学の勉強をするのが楽しくなれば成績は急上昇するということなんだろうね。英語ができるようなればこんなこともできるんだと思えれば、そのために自然に勉強するようになるもんだよ。

　学校は勉強するだけのためにあるんじゃないよ。いろいろんな人と接することも学校の目的だよ。自分のことを分かってくれる友達もいるかもしれないし、逆に気が合わない人もいる。中には嫌な奴もいるかもしれない。そして嫌な奴だと思ったら本当はいい人だったり、その逆だってあるはずだ。学校はそういう様々な人、同級生、先輩、後輩、先生、そのほかの職員の人々と出会う場なんだよ。社会そのものがいろいろな人の集まりだから、学校は行ってみれば小さな社会だよ。それになれることも学校の大きな役割なんだ。

　だから、始めからなんでも完璧を目指すのではなく、とりあえず学校に来てみようよ。成績が悪くたって構わないじゃないか。友達がなかなかできなくたって気にすることはない。それが後々の君の人生に必ず生きる経験になるんだから。