はてなの毎日

日々の思いを、思うまま

演出

 実際にはないものを見せると分かりやすくなるということがあります。普通はそうはしないのですが、敢えてそうしてみせることが思考段階の可視化につながり、結果的に理解しやすくなるのです。

 国語の授業の内容の大半はこの作業であり、脳内で瞬時にやっていることをいくつかのキーワードを提示して可視化してその手順を確認させます。例えば、逆接の言葉が出てきたらその次に筆者の主張がある、というのは国語教師の口癖のようなものだと思いますが、実際にはそんなことを意識している訳ではない。文脈に何らかの変化がつけられたときに私たちは何かがあると思うのに過ぎません。それを逆接の後には、と公式のような言い方をして考え方を可視化している訳です。

 言ってみれば自然な思考の流れにちょっとしたオーバーアクションの演出をつけて役者の演技を指導する。国語教師のやっているのはそんなことかもしれません。