はてなの毎日

日々の思いを、思うまま

時系列を崩す

 脳の異常について書かれた本を読んでいると、脳機能にはいくつもの担当領域があってそのどれに障害を受けるかによって症状が変わるということが分かってきます。脳の障害は絶対に起きてほしくありませんが、病気や事故のためにそうなってしまった人が多数いるのは事実であり、身近な家族にも該当者がいますので軽々に語ることはできません。

 それを承知で小説の構造を考えてみると、あえて一部の機能をオフにすることでストーリーの展開をはかるという書き方があることに気づきます。例えば時系列を自由に行き来する内容は小説ではよくあります。物事を思う順番に想起して語るのは誰にもあることですが、意図的にそれを崩すのは言ってみれば時間認識の機能を一度オフにして物語を書き、もう一度オンにしてからその齟齬を物語として組み立てるということなのでしょう。過去と今が混濁するのは現実ではかなり困ったことですが、意図的にやるならば感動的な話を生むことになるかもしれません。

 私たちが物事を考えている様々な機能をいくつかに因数分解してそれらを組みなおすことで新しいものの見方ができるということなのかもしれません。そんな風に考えると物事の見方そのものが変わってくる気がします。