はてなの毎日

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不寛容な社会にならぬよう

 イオングループが接客時のマスク着用を禁止する方針を打ち出しているとか。一部の利用者からの声が聞き取りにくいなどのクレームに対応するという事情があったようです。イオングループのみならず、いろいろな現場でマスクを禁止する職場はほかにもあります。これには賛否両論ありますが、大切なのは寛容性が極端に少ない社会にしないようにすることです。

 確かに、マスクをつけて接客することに一定の不快感や不信感を感じることはあります。健康に自信がない状態で仕事をしているのではないかという疑念です。これに対してある人は保菌者であることを自覚していながら労務につくことの無責任だと言い立てます。ただ、それを自分のことに当てはめれば無理な話だとすぐに理解できます。ちょっと体調が悪いからといって仕事を休めるのか。体調の異変を悟られなければいいのかと考えてみれば、むしろマスクをつけて仕事をした方が誠実です。また、予防の目的でマスクを着用することにももっと寛容であるべきです。接客業をする人は自分とは違うんだと反論する人もいるようです。「お客様は神様です」というセリフを客側が言い始めた時、世の中はおかしくなります。

 イオンのようなスーパーマーケットには不特定多数の人が流動的に利用します。人手不足の中で従業員も限られており、中には体調不良をおして勤務につかなくてはならないこともある。そういう環境の中で予防策たるマスクを使わせないというのは経営者としては誤った判断だといえます。むしろ、マスクをつけた従業員がいなくなることへの恐怖感を調査した方がよいのではないでしょうか。経営規模が大きくなりすぎると現場の状況が分からなくなってしまうという典型例であると感じました。

 日本の社会が活力を失う中で先行的に表れている現象として他者に対する不寛容性があります。個人の幸福感に余裕がなくなると他者に対する寛容性が失われていくのかもしれません。思いやりにあふれる国だったはずでしたが、それも少しずつ古き良き時代の思い出になっていくのかもしれません。