はてなの毎日

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成人式の頃

 もう随分昔のことになってしまいました。私の成人式はいまは名前が変わっている渋谷公会堂でありました。地域単位の催しはこの頃の世代にとっては久しぶりでした。中学まではほとんどの同級生が公立学校に進んで同じ学校で学んでいましたが、高校からはばらばらで、それ以上になると進学や就職などいろいろでした。おまけに私の成人期の頃はいわゆるバブル期の兆しが見えていた頃で、渋谷あたりはつぎつぎに地上げの目標となり、長くその地に住んでいた人たちが次々に転出し始めていたのです。だから、成人式といっても知り合いはごくわずかでした。
 それに当時の渋谷区はあまりに成人が多すぎて会場に入りきれません。式典を乱すような乱暴者はいませんでしたがどこか落ち着きがなく、アトラクションのコンサート以外はあまり覚えていません。
 成人というのは、かつての民俗のなかでは村社会の一員として認められるための通過儀礼としてあり、さまざまな試練を伴ったものも多かったと聞きます。現代の成人式には試練的要素はほとんどありません。お祝いのようなものになっています。
 しかし、現実の社会では成人となったことからもたらされる試練はかなり大きなものがあります。縮小していく日本の社会においてどのように振舞うのか。多すぎる先輩たちと渡り合うために身につけるべき礼儀とか社会性というスキルの習得など、やるべきことは多く前途は多難です。
 私が成人を迎えた頃、最近の若者は軟弱だとか、礼儀知らずだとかいう言葉をよく聞きました。その人たちがいま逆の立場になっています。新成人の皆さんにはぜひ自分を高める思いを持ち続けて、力強く生きていってほしいと思います。