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プレゼン能力への注目

 オリンピック招致運動の中で、ロビー活動とプレゼンテーションの効果が強調されて報道されています。今回の活動ではそれが効果的に働いたという分析です。政治的な混迷と経済的な問題を抱えたライバル都市に比べ、震災復興や原発汚染水処理といった容易に判断しにくい問題点が指摘された東京はもともと有利だったともいえますが、今回は前回の失敗を踏まえてより緻密な活動をしたことが奏功したと考えられます。

 さて、おそらく今回の一連の結果を踏まえ、教育界にもプレゼンや交渉術の育成を踏まえた教育活動の動きが出てくるのではないかと思います。私は以前から発信能力に対する教育の欠如を問題視していましたが、教室でいざ教えるとなると決まったノウハウがなく、またそれよりも時間が足りないために効果のある成果はあげられませんでした。自由課題の発表や、ディベート形式の話し合いなどやってみるとそこそこ生徒はこなすのですが、はっきり言って自己満足の領域を出ません。評価の方法すら定まっていないというのが事実です。この点に関してはもっと考えるべきでしょう。そもそも大学入試などでその技能が問われないのがこの手の教育が発展しない原因といえます。

 ただ、ひとつ注意しなくてはならないことがあります。それは今回の招致運動はブエノスアイレスだけできまったのではなく、それ以前の綿密な調査と地道な実践の成果であろうと考えられます。それをプレゼンの技術だけに注目するのは明らかにおかしい。生徒諸君に伝えなければならないのは大切なのは話術だけではないということです。おそらく、そういう誤解がしばらくは続きそうな気がしてなりません。