はてなの毎日

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漢文

  同僚の中にも漢文を教える意義について揺らいでいる人がいます。漢文は中国古典文であり、語学的な学習価値は低い。現代中国語とはあまりに違うのです。また、よく誤解されていますが、漢文はあくまで外国文学、もしくは思想の日本における享受のあり方を学ぶのであり、オリジナルの作品そのものを読んでいるのではないということです。訓点の施しようで解釈は変わります。数多くの解釈の可能性の中から、先賢が選んだ解釈の方法に沿って読んでいるのです。つまり、我が国の解釈史のなかでの読解ということなのです。
  私たちの言語の根底に関わる漢文の要素は、絶対に看過してはならないものであり、これからも学び続ける価値があると信じます。東アジアの共有財産とも言える中国古典文化を、日本よりも中国本国や韓国が軽視しているかのような風潮があるのは残念なことです。それぞれの国や地域が古典文学をどのように享受し、伝承しているのかを知り合うことが、深層の国際理解に繋がるはずです。