はてなの毎日

日々の思いを、思うまま

反転授業という出発点

  反転授業という言葉がよく聞かれるようになりました。これは学習の工程を変革するというもので、従来型の教授法へのアンチテーゼです。

  簡単にいうと、授業の始まる前に生徒に予習をさせ、学習内容の概要は自力で学ばせ、授業ではそれを前提により応用的な質問を対話型で行うことによって進めるというものです。教師が基礎的な内容を逐一教えないというところが反転たる所以でしょう。
  この方法をとると、学習者の主体的な取り組みを発生しやすく、結果として学習効果が上がるようです。ここまでの話において私はこの考え方に大いに興味を抱きました。
  ただ、少々気になるのは、予習をする際に使う教材の問題です。多くの場合、ビデオやインターネット上の情報を利用すると考えているようですが、その質的水準が理想通りいくとは思えないのです。世の中のすべてが教材だといえば格好がいいのですが、教育現場にいる者の立場で言わせてもらえばそれほど安易なものではありません。情報を収集することそれ自体が実は難しいのですから。教育にICTを導入したい一部の皆さんの意見ではいまにもそれが実現しそうな物言いをされますが実際は克服すべきことが多すぎる。
 予習用の教材はある程度は教員側で用意する必要があると思います。そのためには準備が要ります。年間に数回この試みをするというならいざ知らず、すべての授業をこの方式にすることは現段階では画餅にすぎません。
 ただ、この自習から応用学習へという流れそのものはかなり有効だと思うのです。教師がものを伝達する役にとどまることなくファシリテーター(知の促進者)としての役割を果たすことが新たな可能性を開く気がしてなりません。この考え方は私にとっては新たな出発点です。自分にできること、つまり実現可能な方法を模索していこうと考えています。