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貧困の再生産

 昨日、厚生労働省が発表した昨年実施した「国民生活基礎調査」の結果によると、2012年を対象とした金銭面での貧困を表す「相対貧困率」が16.1%に達し、この調査を初めて以来最悪の数値になったとのことです。特に、17歳以下の貧困率は16.3%であり、全体の数値を上回っています。厚労省非正規雇用者の増大による所得の減少が原因の一つではないかと分析しているようです。

 給食費が払えない、遠足や修学旅行に行けないといった児童・生徒はこれまでも問題になっていました。不景気が続き、雇用形態が企業本位となっている現状は否めません。親の経済状態が子供の人生に影響するのはある程度は仕方がないものの、それが行き過ぎると貧困者の子供が十分な教育なり社会経験が得られず成長後再び貧困者になるという、貧困の再生産が繰り返されることになってしまいます。貧富の拡大や、階層社会へと変化することは国全体としては不利益につながります。

 我が国の民主主義というのは、戦争中の全体主義の反動として始まり、欧米の自由主義も影響して文化的にも経済的にも、個人の幸福というものに強い関心を持っています。自分が幸せになることが正義であり、その意味での幸福を追求することは何者にも代えがたい権利であると。

 ことろが、ここにきて自分だけが幸せでも周囲が不幸せだと結果的に不利益が自分に振りかかるということに気づいてきた人が多くなってきました。お金を回さなくては消費税は上がる一方だし、弱者を助けなくては社会保障制度が崩れる。不幸な子供を放置していれば社会は不安定になるし、そもそも子供を安心して産めないから国家が縮小する。

 私たちは個人主義を超えて、かつての全体主義でもない、共生し支え合う社会を模索することによって生き残りを考えなくてはならなくなっているようなのです。ただ、これは言うに易く、行うに非常に難しい。何をすることが本当の幸福につながるのかを考えるきっかけがなくてはならないようです。