はてなの毎日

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遠いドリンクバー

 先日、ファミリーレストランで時間つぶしをした時のことです。メニューに並ぶ料理はどれも安く、自宅で作るのとそう変わらないものもあります。こういう店にありがちな丁寧だけれどもマニュアルどおりの心のこもらない接客についてはいまさら文句を言っても仕方がないと思っています。それを期待しないことで安く済ませているわけですので。また、ドリンクバーという方式は、なんどでも自由におかわりができるという特権と引き換えに、自分で取りに行かなくてはならないという手間を負います。私にとってはおかわり自由という方に利を感じられるので、ここに不満を感じることはありません。ところが、この時はちょっと考えさせられることがありました。

 隣の席に少し遅れて到着した二人組みは、高齢の方と障碍を持つ方であったようで席に座るのもかなり大変そうでした。セットメニューを注文されたのですが、店員は水とスープは自分で取ってくるようにと型どおりの説明をします。ところが、立ち上がるのにも困難をともなうお二人にとって、それはかなり難しいことでした。結局、事情を話して店員にとって来るように言ったのですが、マニュアルにない対応だったためか、何度か頼んだ末の行動でかなり時間がかかっていました。

 安いけれども人によっては不便なサービスもある。そういうことをこのやり取りを側聞していた私は痛感したのです。そして、これはいずれ誰もが通る道であり不可避の事実なのです。私たちは健常な状態で常識化したシステムが、やがて自分には適さないものになることをあまりに軽く見積もっている気がしてなりません。そういう人はファミレスを選ぶべきではないと思った方がいたとしたら、その方はきっと将来路頭に惑うことになるでしょう。ハンディキャップを持つ人が安心して入れ、しかもある程度コストが抑えられる店がどれだけあるのかを想像すれば答えはすぐに分かるはずです。

 体の自由が利かなくなってから考えるのでは遅い。本当に便利なサービスとはなにかを考えていく必要性を痛感するのです。