はてなの毎日

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春の富山湾

 北陸新幹線が開通して初めてその方面に行かれる方も多いと思います。もちろん金沢の城下町の風景は素晴らしいですし、兼六園も有名です。高岡の瑞龍寺や古城公園、富山城址公園あたりの風景、宇奈月温泉のにぎわいなどもお勧めですが、私としては何もない富山湾の春の景を推薦いたします。

 日本海というと冬の荒々しい風景が有名で、演歌の歌詞などにもしばしば取り上げられます。しかし、春から夏にかけての日本海はおおむね穏やかであり、特に内海になっている富山湾は湖水のような風情さえあります。その湾岸には数々の見どころがあると思います。

 もっとも有名なのは高岡市北西部にある雨晴海岸から立山連峰を望む風景です。晴れている日は湾の向こう側に3000メートル級の山々が並ぶ絶景が広がります。ここは写真家の間ではよく知られているスポットです。


探訪 波間に映える3000mのシルエット 雨晴海岸 - YouTube

 私がお勧めしたいのは東部の魚津や黒部の当たりの湾岸です。魚津は地形上、蜃気楼が発生しやすく、運がよければ湾の向こうの風景が膨張したり反転したりする珍しい現象をみることができます。4月下旬から5月くらいが発生しやすく、晴天が数日続き、翌日に天候が崩れるという予報が出ている日が狙い目です。ただし、ごく短時間の発生になることが多く、見られる可能性はとても低い。


こちら三河放送局 富山県魚津市 蜃気楼 - MIRAGE - - YouTube

 黒部市生地(いくじ)は漁港への運河にかかる橋が旋回式可動橋であるという面白さもありますが、むしろ何もない海の風景を楽しむことができるという点においてお勧めです。富山湾の向こうにうっすらと能登半島の島影が見え、夕刻にはその半島の向こうに日が落ちるのを見ることができます。場合によっては近くの浜辺で地引網が引かれるのに出くわすことがあるかもしれません。詩人田中冬二の愛した風景があります。


動く橋(生地中橋) - YouTube

 都会の喧騒を離脱することを目的とするならば、にぎやかな観光地よりも何もない富山湾をぼんやりと眺めることの方が心身の健康のためになります。