はてなの毎日

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あなたのものではないですよ

 先日、スーパーのレジで買い物を済ませるとサッカー台に高齢の女性が近づいて来て私の買ったものを包装しようとします。最初はなんのことか分からなかったのですが、どうも認知症の症状が出ている方のようです。視線が定まらず、これはあなたのものではないですよ、といっても理解していないようでした。店員にお願いして別の場所に行っていただこうとしましたが、どういうわけか私の買い物を自分のものと思い込んだらしくどこまでもついてくるのです。

 以前の私ならもしからしたら大声を出したかもしれませんが、最近、認知症に関してはそれなりに考えることが増えてきたので、粘り強くこれは違うのだということを申し上げたつもりです。結局ははぐれていた夫と思われる方が現れて事なきを得ました。

 高齢化社会の中でこうした出来事は今後珍しくはなくなるでしょう。私自身もその可能性を多分に持っており人事ではありません。正常な判断ができなくなった時、それをどのようにして他人に知らせるかも大切なことのように思えてきました。今回の女性は目つきが異常でしたが足腰はしっかりとしており、遠目からは健常者と変わりありません。こうした方が異常行動を取る時はその発見がどうしても遅れてしまうと思ったのです。

 でも、例えば自動車に貼る高齢者マークのようなものを個人に付けさせることはいかがなものでしょう。少し間違えば人権侵害にもなりかねません。その人の安全を重視するのか、プライドなり矜持なりを重んじるのかで考え方は変わります。

 社会全体が高齢化していく中で、お年寄りに対してどのように接するのかということは重要な問題です。一方で、高齢者側も個々人の心身の状態をどのように他人に理解してもらうのかといった情報開示もある程度は必要なのかもしれません。こういったことを社会全体で考える機会があってもいいのではないでしょうか。