はてなの毎日

日々の思いを、思うまま

危機感がもたらすもの

 口永良部島の火山の爆発には驚きました。日本付近の火山が活動期に入ったとの見方もあるようですが、長い歴史を考えてみると、むしろいつもこのような状態であったと考えることも出来るようです。古典の世界では噴煙を上げる富士山の様子を描いたものもあり、さまざまな火山のもたらす噴火や、周期的なプレート型の地震などの記録は枚挙に暇がありません。

 台風などの気象災害も含めて我が国が天災に見舞われる可能性は非常に高く、それが国民感情にも大きな影響を及ぼしているのです。多くの方が論じているように、日本人には積み上げてきた日常が突然終了するという理不尽さを何度も経験し、それを耐え忍ぶ方法を歴史的に獲得してきた民族ではないでしょうか。

 ところが、近代以降の日本はこのことを科学や技術の力で乗り越えられるような錯覚をもってしまっているようです。この日常がいつ終わるかわからないという危機感や、起こってしまった災害にたいする諦観と再生のエネルギーといったものが、鈍化してしまっている気がするのです。

 不利な地理条件のなかでも「やるしかない」という考え方こそ、この国を支えてきたものであり、危機的な状況ほど考え直さなければならない日本人の精神的遺産なのではないでしょうか。