はてなの毎日

日々の思いを、思うまま

渋谷にて

 先日、渋谷を歩く機会がありました。西武百貨店の前はいつもの混雑、公園通りに向かう人の流れが絶えることはありません。その流れが一時的に停まるのが赤信号です。ちょうど自分の真ん前に立った白人男性が、横断歩道の対岸に向かってスマートフォンのカメラを向けました。フレームの映像が見えます。何を撮っているのかといえば赤信号が消えるのを待つ、向こう側の人たちの姿でした。

 おそらくこの男性は日本への旅行者であろうと思いました。それにしても渋谷の雑踏を撮影して何か意味があるのかと不思議に思いました。そして改めてカメラの先の人々を直接見てみるとなるほどと思うことがあったのです。

 実は彼のフレームの中に収まったのは実に多様な姿の人々でした。いわゆる「かわいい」系の格好をしている若い女性、軟弱な感じのする刺青を入れた男、ラテン系の人種と思われる外国人カップル、黒人男性、イスラムのヒジャブをかぶったアジア系の女性、それにもちろん大半の日本人など、実に多種多様な人々が小さなフレームに同居しているのです。

 日本はここ数年で観光客の数を急激に増やしています。大半はアジアの近隣諸国からの旅行者ですが、渋谷の街を見る限りもはや世界各地から集まっているといえると思います。東京に見るべきものなどあるのかなどと、私などは思ってしまうのですが、実はこのこじんまりとした街角を整然としかも止めどなく動き回る雑踏に参加することこそ、日本体験の面白さなのかもしれないと考えたのでした。