はてなの毎日

日々の思いを、思うまま

記憶が買えるとしたら

 他人の夢を買い取って大臣に昇進した吉備真備の話があります。夢占いの信仰を知る上で大切な説話です。他人の知覚したことを自分のものにするというまさに夢物語なのです。もしこのようなことが将来可能になるとしたらどうなるのか。今朝はそんな妄想にとりつかれています。
  どんなに辛いことでもいつかはいい思い出になるから、とは励ましの言葉としてよく使われます。私自身もそう思って何かを乗り切ることがありました。でももしこれが、後でいい思い出を買えばいいとなったとしたらどうなるのでしょう。
  現実の生の経験の意味が軽くなり、何かに代替できることを前提とする生き方はとても怪しいものになるはずです。というよりも生きていること自体の価値が見出せなくなるかもしれない。
  現実では夢も思い出も買えない。比喩的な意味でなくリアルな感覚としては他人の知覚したことを取り込むことはできない。だからこそいま経験していることが大切なのかもしれない。などと考えを巡らした訳です。